自分を励ます言葉を身につける

 つらい時に、ただ「つらい」「苦しい」「イヤだ、イヤだ」などと考えていると、余計につらい気もちになるだけです。
 そんな時に、自分で自分を励ますような考え方を心がけることができるようになれるといいでしょう。

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 │ 「頑張ろう」
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 人を励ます言葉でポピュラーなのは「頑張れ」「頑張ろう」です。
 人から言われたら素直に聞けない時もあるでしょうが、自分で「頑張ろう」と言えば、それなりの効果があるでしょう。

 つらい時に、「(もう少し)頑張ろう」と一言(心の中で)言うだけでも、少しは心を励ますことができるでしょう。
 その前に、「自分を励まそう」という気もちになれるだけでも、心の姿勢が前向きになり、少しは強くなれるのだと思います。

 同じように、元気がない時には、一言「元気を出そう」と自分で言えれば、少しは元気が出るでしょう。
 「好きな歌(元気になれる歌)を口ずさみながらやろう」などと工夫できることもあるでしょう。

 日本人は「ガンバレ!」と応援し、アメリカ人は「リラックス」と応援する――というのを聞いたことがあります。
 「ちょっと力を抜いて頑張ろう」と考えたほうがいいこともあるのではないでしょうか。

 ただし、「頑張るのはいいこと、頑張り過ぎるのは・・・」。
 頑張り過ぎて、疲れきってしまっては、余計につらくなるだけでなく、いい努力が続けられなくなってしまいます。

 「少し力を抜こう」「今は休もう」などと考えたほうがいい場合もあるでしょう。

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 │ 「我慢しよう」
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 生きていく中では、イヤなこと・つらいこともあります。「頑張ろう」となかなか思えない時もあるでしょう。
 それでもやらなくてはならないこと、自分のためにやったほうがいいことがあります。

 そんな時、「我慢しよう」と考えることで、自分を励まし、心を少し強くできる場合がけっこうあります。
 実際、ある程度我慢すれば済むことはたくさんあります。我慢ができないために、問題が大きくなってしまうこともあります。

 何かをやり始めた時期にはつらいことも多いでしょう。
 そんな時には、「つらいのはまだ慣れていないから」「そのうちに慣れる」「今にラクにできるようにきっとなれる」、そして「(もうちょっと)我慢しよう」と考えられるといいでしょう。

 また、「つらいのは一時の事」「このまま続ければいずれは終わる」「すべては時が解決してくれる」のような見通しを考えるのもいいでしょう。
 「朝の来ない夜はない」「夜明け前がいちばん暗い」「雲の上はいつも青空(雲はやがて流れ去る)」のような格言が役に立つかもしれません。

 「つらい」「苦しい」「イヤだ、イヤだ」などと思いながらの我慢は、いっそうイヤな思いがし、時間も長く感じやすいでしょう。
 「こういうこともある。ある程度イヤな思いをするのはしかたがない。余計なことを考えずになんとかやり過ごそう」と考えたほうが我慢しやすいでしょう。

 “我慢”と言うと、「力を入れて耐える」イメージがありますが、「少し力を抜いてやり過ごす」ことができれば、我慢できたということになるのではないでしょうか。

 多少つらくても、「このくらいなら、まだ平気」「大丈夫、大丈夫」「いつもなんとかなっているじゃないか」「(もっとつらい経験があるなら)あの時に比べたら、まだまし」などと考えられると、なおいいでしょう。

 どうせするのなら、自分を励ますことで少しでもラクに我慢できるようになれたらいいのではないでしょうか。

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 │ 「切り替えよう」
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 ミスや失敗をしてしまって、つらい思いをすることもあるでしょう。

 スポーツでミスをした時に、昔からよく使われる言葉に「ドンマイ(Don't mind)」があります。
 最近よく耳にする言葉が「切り替え(よう)」です。

 一つのミスをいつまでも気にしていてもしかたがない、心を切り替えてベストを尽くそう、ということだと思います。

 一つのミスをくよくよ考えたり落ち込んだりしていては、いいパフォーマンスを発揮することができないでしょう。消極的になったり、次のミスにつながりやすくなったりもします。

 そこでいいのは、「切り替えよう」と心がけることです。

 切り替えるためには、まず第一に、今の考え(ミスのことを考えるの)をストップすることです。
 「してしまったミスはしかたがない」「こんなことをいつまでも考えていてもしかたがない」「もうこれ以上このことを考えるのはよそう」などと考えられるといいでしょう。

 次に、「切り替えよう」「切り替え、切り替え」と考えることです。

 そして、「今やるべきことをしっかりやろう」「今度はこうしよう」「もっと、慎重に(落ちついて/積極的に/気合いを入れて)やろう」「○○を頑張ろう」などと考えられるといいでしょう。

 イヤなことがあった時、思うようにいかない時、落ち込んだ時などには、うまく心を切り替えることができたらいいのではないでしょうか。

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 │ 「ベストを尽くそう」
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 つらい時には、「あの人が××だから」「□□(組織/制度/社会/運)が悪いから」「自分は××だから」などと、考えやすいでしょう。
 このようなことを考えても、余計につらい気もちになるだけです。

 そんな時には、「こんなことを考えてもしかたがない」「余計なことを考えずに、一所懸命にやればいい」「今できることをやろう」「やれるだけやればいい」「ベストを尽くそう」などと考えたほうが自分のためにいいでしょう。

 また、つらいことに立ち止まってしまい、なかなか前に進めない時もあるでしょう。
 そんな時には、「もう1回だけやってみよう」「ともかく一歩前進しよう」「(立ち止まっていてもいいことはない)歩きながら考えよう」などと考え、再開できるといいでしょう。

 同様に、困難に立ち向かわなければならない時には、「勇気を出してやってみよう」「いい経験をするつもりでやってみよう」などと考えることで第一歩を踏み出せることもあるでしょう。

 そして、つらいことをやり終えた時には、「頑張った」「よくやった」「えらい、えらい」などと、自分をほめてあげてもいいのではないでしょうか。
 ちゃんとやれた時に自分をほめることで、少しずつ自信をつけていくこともできるでしょう。自分で自分をほめることも、自分を励ます方法の一つです。

 つらい時には、上記のような自分を励ます考えができるようになれるといいでしょう。
 つらい思いをしている自分をそのまま放っておかずに、自分を助けるために、自分を励ます言葉を自ら使えるようになれたらいいのではないでしょうか。


   

幸せになる考え方