「人への怒りが抑えられない」

怒りの感情に振り回されない自分になるために

 怒りは人の感情の中でも激しいものです。瞬間的に湧きあがり、一気にふくらみ、自分ではなかなかコントロールできなくなってしまいます。
 怒りの感情に駆られて、人に対して悪いことをしてしまったり、自分にとってよくないことをしてしまうこともあります。一時の怒りの爆発によって、大きい不幸を招いてしまうこともあります。

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 │ 怒りの感情を少しでも鎮めるために
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 人への怒りの感情がおさまらないのは、「許せない」という思いが心の中にあるのかもしれません。
 「許せない」という思いは、長く続きやすいでしょう。「許せる」か「忘れる」まで続いてしまいます。
 それまでの間は、相手と接するたびに、相手のことを考えるたびに、イヤな気もちになってしまうでしょう。

 「許さなくてもいい」のではないでしょうか。
 ただし、「こんな人もいる」という現実は受け入れたほうがいいでしょう。「許せない」という思いには、「こういう人がいるのも許せない」という意味も含まれているような気がします。

 「こんな人もいる」と考えることで、少しは気もちも鎮まるでしょう。
 相手がふだんはいい人の場合には、この人にも「こういう時がある」もしくは「こういう所もある」と考えればいいでしょう。

 怒りの感情が強いうちは、悪い考えをしやすく、幸せになる考え方もなかなかできないでしょう。
 そういう時には、ひたすら受け入れる考え方を心がけるしかないと思います。

 「こういうこともある」「こんな人もいる」と現実を受け入れる。
 「怒りが湧くのもしかたがない」「こういう時もある」などと、自分の感情を受け入れる。
 「こんなこと(相手を悪く考えてしまうこと、被害妄想的なこと、仕返しなどの悪いこと、落ち込むようなことなど)を考えてしまうのも今はムリもない」などと、自分の考えを受け入れる。
 このような言葉を心の中で自分に言い聞かせることができれば、怒りの感情をある程度は鎮めることができるでしょう。

 自分の怒りの感情を鎮めるために、一般的によく言われる方法としては、「深呼吸をする」「10数える」などがあります。
 自分で怒りを鎮めようと、このような努力をすれば、少なからず効果はあるでしょう。

 怒りが湧いたら、最低限、その場で爆発させないことが肝心です。
 「この問題はあとで考えることにして、今は心を鎮めることを心がけよう」のように考えられたら、と思います。
 また、状況が許せば、「この場を離れよう」「少し頭を冷やしてこよう」などと考えられるといいでしょう。

 ある程度感情がおさまってそれで我慢できれば、それでいいのだと思います。「怒りを完全にコントロールできないといけない」のような完璧主義は不幸になる考え方です。
 「怒りは爆発させなければいい」「(努力すれば)ある程度はコントロールできる」などと考えればいいのでしょう。

 「怒りはコントロールできない」とあきらめずに、「怒りを鎮めよう」と努力すれば、それなりの効果はあるのではないでしょうか。

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 │ 怒りをもち続けない
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 怒りが発生した場をやり過ごすことができたら、あとは怒りの感情をもち続けないように心がけることが大事です。
 「気分転換をしよう」「できるだけ考えないようにしよう」と心がけることができるようになれるといいでしょう。

 気分が悪くなったら、「意図的に気分転換をはかる」習慣をつくることができたらいいでしょう。
 怒りの場合には、まず「頭を冷やす」ような方法を実践できるようになれたらいいでしょう。
 たとえば、トイレに行く、深呼吸をする、飲み物を飲むなどです。
 気分転換の方法はいろいろあると思います。自分の得意な気分転換法をいくつかもっていると、いろんな状況で役に立つでしょう。

 怒りが続いてしまうのは、その事・その人のことを考えてしまうからでしょう。
 つい考えてしまうのはしかたがありません。気づいて、その事を考えるのをストップして、他の事に考えを向ければいいのです。

 たとえば、「この事を考えるのはよそう」「あの人のことを考えるのはやめよう」「あとで考えよう」「今だけは」「こんなことを考えるよりも、いいことを考えよう/いいことを始めよう/気分転換をしよう」など。

 気分が悪いと、ついその原因について考えてしまいます。
 ふと怒りの原因について考えてしまっても、それに気づいて、幸せになる考え方を心がけることができるようになれたら、と思います。

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 │ 怒りは敵
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 怒りをまったくコントロールできない人の中には、「自分には怒りはコントロールできない」「性格だからしかたがない」などと、あきらめている人が多いのではないでしょうか。

 心がければ「ある程度はコントロールできる」、努力を続ければ「少しずつコントロールできるようになれる」と考えましょう。
 そして、「怒りをコントロールするように心がけよう」「怒りを少しでもコントロールできるようになろう」と決意することが、第一歩かもしれません。

 自分の怒りの原因は「相手のせい」「相手が悪い」としか考えられない人もいます。
 そういう人は相手が変わることを無意識に期待しているのかもしれません。
 「相手が変わることを期待しているのではないか」「相手を変えることはできない」と考えられるといいでしょう。

 怒りの発生の原因は相手にあるのでしょうが、怒りの感情を強くし、長引かせてしまうのは「自分(の考え)のせい」です。
 相手が変わることを期待していつまでも怒りをもち続けるよりも、自分(の考え方)を変えることで怒りを抑えられるようになれたほうが、自分のためにいいのではないでしょうか。

 怒ってもいいことはないでしょう。
 自分の怒りが原因となって、人間関係を悪くしたり、八つ当たりをしてしまったり、悪いことをしてしまったり、自己嫌悪に陥ってしまったりすることにもなりかねません。
 強い怒りは暴言や暴力などの衝動を生み、長い怒りは憎しみにつながる危険性もあります。

 イヤな気分で過ごす時間が増えるだけでも、よくないでしょう。その分、幸せに過ごせる時間が減ってしまいます。
 怒ると健康や美容にもよくない、とも言われます。

 「怒ってもいいことはない」「怒りは毒」「怒りは自分を醜くする」などと考えられるといいでしょう。
 怒りが抑えられなかったために、過去に苦い経験をしたことがある人は、「怒りは敵」ぐらいに考えてもいいのではないでしょうか。

 「自分(の健康と幸せ)のために、怒りをコントロールできるようになろう」と決意することから始めてみてはどうでしょうか。


   

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